中央共同募金会「公益信託 高橋保蔵記念福祉振興基金」助成事業
【Point1】ボランティア・市民活動で大切にすべきものをあらためて考えます
人権(ヒューマンライツ)という視点に立ち返り、自分たちにできることを考える機会とします。
【Point2】「会場参加」「オンライン参加」を選択できます
みなさんの都合にあわせて、「会場参加」「オンライン参加」を選択できます。
【Point3】参加費は無料です
いずれの参加方法でも、参加費は無料です。
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【テーマ】
ボランティア・市民活動の根底にある人権(ヒューマンライツ)を考える
ボランティア・市民活動においては、すべての人がもつ「人権(ヒューマンライツ)」の感覚が大切です。一方で、現在の日本では、すべての人がもつはずのそれが、「外国にルーツのある人」「障害のある人」「セクシュアルマイノリティ」「高齢者」「子ども」等であるがゆえに侵害されているという状況も生じています。
そうしたなかで、あらためて人権(ヒューマンライツ)という視点に立ち返り、自分たちにできることを考えるきっかけとして、本年度の勉強会を開催しました。
【日 時】 2025年3月26日(水)13時00分~16時00分
【参加方法】 全国社会福祉協議会 会議室(千代田区霞が関)及びオンライン(Zoom)
【参加対象】 ボランティア・市民活動推進者、関心のある方ならばどなたでも
【参 加 費】 無 料
【プログラム概要】
時間 | 内容 |
13:00-13:10 | 開会 |
13:10-14:15 |
基調講演 「多文化共生や外国人問題から普遍的なヒューマンライツを考える(仮題)」
〈登壇者〉田村太郎さん(ダイバーシティ研究所) https://diversityjapan.jp/soshiki/president-profile/ 阪神・淡路大震災で被災した外国人への支援を機に、多文化共生や被災地支援等の活動の道へ。2007年にダイバーシティ研究所を設立し、企業のCSRや自治体施策を通じた多様性配慮の推進に携わっている。 |
14:15-14:25 |
休憩 |
14:25-14:55 |
「広がれ」構成団体による紹介 「日々の取り組みのなかで大切にしている人権(ヒューマンライツ)」
〈登壇団体〉
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14:55-15:45 |
グループ討議
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15:45-16:00 |
全体共有・まとめ |
原田正樹副会長の開会あいさつに始まり、勉強会前半は、一般財団法人ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎さんから「多文化共生や外国人問題から普遍的な人権(ヒューマンライツ)を考える」と題した基調講演をいただきました。「日本で暮らす外国人」は国籍や年代、世代、在留資格等多様化している現状が共有され、在留外国人数の推移・現状や、日本における外国人への受け入れ支援の経緯・課題、在留外国人が直面する壁などが紹介されました。そのうえで、外国人の人権に配慮のある社会に向けた3つの視点として、「あってはいけないちがいをなくす」「なくてはならないちがいを守る」「ちがいを受け入れる社会をつくる」が提起されました。問題はちがいそのものではなく、ちがいのなかにマジョリティとマイノリティが存在していることであり、無意識の偏見に気づくことの重要性が示されました。外国人の人権が守られる地域社会は、すべての人の人権が守られる地域社会です。地域で「ちがい」をもつ人たちが出会い、「ちがい」を受け入れ、ともに変化する共生社会が求められると締めくくられました。
質疑応答では、外国人の在留支援や地域への啓発等の出入国在留管理庁の動きや、条例をつくる自治体の動きが出始めているということが共有されました。課題への対応としては、マイノリティ支援に対するマジョリティの漠然とした「私たちが不利益を被るのではないか」という不安を正しい情報で解消していく必要性が示されました。また、地域活動のなかで、とくに子ども時代に、さまざまな人と対等な関係で出会うことの重要性も示されました。
基調講演の後は、国際PTの伊藤章さん(特定非営利活動法人ボランティア活動推進国際協議会日本/特定非営利活動法人国際ボランティア学生協会)から、国際PTのこれまでの取り組みを紹介し、多文化共生の主流化(Mainstreaming)※ が必要であること、ボランティア活動の土台となる理念や原則を問い直す必要があることを提起しました。
※ すべての組織・個人が自らの課題としてとらえること。
勉強会後半は、「広がれボランティアの輪」連絡会議を構成する団体のうち3団体から、それぞれの活動の根底にある人権(ヒューマンライツ)の考え方について紹介しました。SDGs市民社会ネットワークの新田英理子さんからは、SDGsの活動の核心・方向性が「人権」にあること、社会の仕組みとともに環境や経済といった側面での意識も根本的に変革していくことの重要性が話されました。更生保護女性連盟の大塲玲子さんからは、犯罪や非行歴のある人を「犯罪者」「非行少年」という一面でしかとらえてこなかった社会のあり方への反省を踏まえ、ともに社会を構成する仲間という観点で、従来の矯正施設慰問や更生保護施設支援に加え、子ども食堂や子育てしゃべり場等の地域活動にも転換してきたことが話されました。日本YWCAの山本知恵さんからは、子ども・女性が自らの生活・権利・選択の主体となるためのエンパワメント事業を通して、マイノリティ性や権利を含めた「自分のこと」を知り、他者と語り合える環境づくりに取り組んでいることが報告されました。
基調講演と3団体からの報告を踏まえ、会場とオンラインにてそれぞれの参加者が少人数のグループに分かれて、感想等を共有し合いました。会場のグループからは、子どもの頃から多様な人同士が出会う機会や当事者の声を聴く仕組みについての提案がありました。また、福祉等の分野においても経済の視点と多文化共生を結びつけて考える必要性が提起されました。オンラインのグループからは、「女性」「住民」といった多様な視点をもって外国人と関わるという気づきや、さまざまな団体と連携して外国人の声を吸い上げ、当事者を含めて互いに助け合っていくことの重要性が共有されました。
最後に上野谷加代子会長より、ボランティア・市民活動においてこうした人権(ヒューマンライツ)を意識することの重要性と、「広がれボランティアの輪」連絡会議としてそのことをさらに広めていかなくてはいけないと呼びかけ、勉強会を閉じました。