2024年広がれ30周年記念 プレイベント

「広がれボランティアの輪」連絡会議 国際PT連続勉強会

「いまさら聞けない!地域de多文化共生」~あなたは一人じゃない!地域のチームで広げる・広がる、在住外国人支援の輪~

2023年11月23日(木)14時00分~16時30分


◆企画のポイント

「いまさら聞けない」多文化共生を学ぶ一歩になります!


◆勉強会プログラム

【テーマ】

「いまさら聞けない!地域de多文化共生」

~あなたは一人じゃない!地域のチームで広げる・広がる、在住外国人支援の輪~


【日  時】2024年11月23日(木)14時00分~16時30分

【会  場】全国社会福祉協議会5階会議室  ※2023年度ボランティア全国フォーラム分科会3

【参加対象】ボランティア・市民活動推進者、社会福祉協議会関係者、関心のある方ならばどなたでも


【プログラム内容】

 今年度の国際PT(プロジェクトチーム)では、地域で暮らす外国にルーツを持つ住民の置かれている状況を知り、自分たちの地域では何ができるのかを考え、共有する連続勉強会を開催しています。その一環として、2023年11月23日行われた「ボランティア全国フォーラム2023」の分科会3で、「地域de多文化共生~あなたは一人じゃない!地域のチームで広げる・広がる、在住外国人支援の輪」を行いました。

 この分科会では、国際交流に力を入れているNPO/NGOや国際交流協会等と連携して事業を行っている社会福祉協議会の担当者からご発表いただき、自分たちの地域では何ができるのか考えました。


【プログラム概要】

14:00~ 趣旨説明:松尾加奈(「広がれボランティアの輪」連絡会議国際PTメンバー・淑徳大学)

14:10~ 事例発表:

宮坂 誠さん(豊島区民社会福祉協議会 共生社会課CSW担当チーフ)

村松 清玄さん(公益社団法人シャンティ国際ボランティア会 地球市民事業課)

内藤 博幸さん(大田区社会福祉協議会 地域福祉推進課 おおた地域共生ボランティアセンター 地域共生担当 主任)

石井 さわ子さん(一般社団法人レガートおおた 代表理事)

勝部 麗子さん(豊中市社会福祉協議会 事務局長)

吉見 知美さん(豊中市社会福祉協議会)

山野上 隆史さん(公益財団法人とよなか国際交流協会 理事兼事務局長) 

15:55~ グループセッション

16:30  終了


◆事例発表内容

1.東京都豊島区

  • 豊島区の特徴として、人口の約1割が外国籍住民(多い順に中国、ベトナム、ミャンマー、ネパール、韓国、120以上の国・地域の方が居住している)。在留資格で言うと留学が一番多い。町会加入率が下がり、民生委員などの地域の担い手も少なくなっている現状がある
  • 豊島区に区民ひろばという地域のコミュニティセンターのような場所が、小学校区ごとにあり、赤ちゃんからお年寄りまで全世代が利用することができる。また、豊島区を8つの地域に分け、そこに2名のコミュニティソーシャルワーカーを配置しており、暮らし全般を、国籍を問わずサポートしている
  • 多文化共生に関する取り組みとしては、区役所に多文化共生推進担当が配置され、「豊島区多文化共生推進基本方針」が策定されている。そして、外国籍住民の方向けにやさしい日本語で生活に関する情報を発信している
  • 社会福祉協議会では多文化共生交流会などを開催したことがある。日本語ボランティアの方も含めて、生活で困っていることややりたいことを聞いたり、各国のお茶を飲みながら交流したり、災害に対する備えについて話し合ったりした
  • コロナ時の生活福祉資金の特例貸付に関しては、申請件数約2万9千件のうち外国籍の方からのものが約4割(ネパール、ミャンマー、ベトナムの方が多い)で、飲食店に勤務されている方が多い。留学生からも学費の支払いについて相談を受けることが多かった
  • 特例貸付の対象にならない方に関しては、本人の同意を得て、コミュニティソーシャルワーカーに繋いで個別の相談支援を行った
  • 課題としては、「言語の壁のため情報が正確に伝わらない」「文化的・宗教的背景に対する理解が乏しかった」「在留資格や就労条件に関する専門的知識や支援経験が十分でなかった」というのがある。多文化共生と言いながら、外国人の生活課題に向き合えていなかったし、エスニックネットワーク(同じ国籍の人の相互扶助ネットワーク)にもつながれずに孤立している人が多かった
  • 2021年に、外国人に対する多機関連携の取り組みとして、「としまる」(TOSHIMA Multicultural Support)という活動が始まった。https://toshima-shakyo.or.jp/pdf/goannai/tabunka_kyosei.pdf 
  • シャンティ国際ボランティア会が主管団体で、「持ち場のある支援」を重視している。活動としては、まず広報(食べ物配ります、相談聞きます、皆さん来てください)。社会福祉協議会の特例貸付に来た方にも直接案内を送ってもらった。フードパントリーで食糧を配布する前に、相談ブースを通る形にしたら、多くの課題や悩みが出てきた。それを後で持ち帰って個別の支援につなげていく
  • 現場で支援を担当するコーディネーターには、ミャンマーやネパールの方もいて、言語の壁もなく、当事者ならではの視点で活動してくれている
  • 個別の支援も重要だが、地域の共助の輪にどうやって入ってもらうかも重要。外国人もボランティアとしてかかわる方も増えている
  • 社会福祉協議会とNPO・NGOとの連携に関しては、「同じ課題意識を持つ」「持ち場のある支援」「支援する側のつながり」「課題をシェアする」といったことが必要
  • 豊島区には国際交流協会がなく、持続可能な支援体制を作るためには、外国人住民に対しての専用窓口が必要。日本人と外国人が同じ住民同士として交流できる場を作っていきたい

2.東京都大田区

  • 大田区の外国人人口は3.8%。4つの基本圏域があり、15名の地域福祉コーディネーターが配置されている。在留資格は永住者が最も多く、比較的長く住んでいる人が多い
  • 社会福祉協議会とレガートとの連携は、コロナ禍の特例貸付において外国人住民の申請書類代筆や申請予約等で始まった
  • 個別支援の取り組みに関しては、アセスメントにICF(国際生活機能分類)を活用することが望ましいと考えている
  • 支援する人/される人という構図で捉えがちだが、本人や地域住民こそが課題を解決する方策を知る存在で、課題を解決する主体、援助の主体。ソーシャルワークの展開過程にいかに地域住民を巻き込み、本人を支えるチームを作るかがポイント
  • 対人支援において今後求められるのは、具体的な課題解決を目指すアプローチだけでなく、つながり続けることをめざすアプローチが必要で、これが伴走型支援と言われるもの
  • 生活福祉資金の貸付に関しても、貸付のみで世帯とのかかわりが終わるのではなく、償還を通じ民生委員とともに本人や世帯を支援し続けることが重要
  • 小さな変化に気付けるひとを地域の中で作っていくことが重要であり、(それが地域福祉を推進する)社会福祉協議会の役割
  • たすけあいプラットフォーム事業では、「地域にある課題・心配事をキャッチ」→「様々な立場の人が集まり、解決のためのアイデアを出し」→「地域でできる活動を生み出す」という形で進めている
    • 詳しくは→ https://www.ota-shakyo.jp/service/csw/tasukeai
  • 支援者に求められているのは丁寧なソーシャルワークであり、支援者の外国籍住民の方に対しての以下の点でチェックする必要がある
    • 支援の対象外と考えていないか
    • 属性だけで判断、見立てていないか
    • 身近な住民の一人として捉えているか
    • 地域の中で力を発揮できる人と捉えているか
  • レガートおおたは、2010年に大田区内で活動する、いくつかの国際交流団体のメンバーが立ち上げた
  • 区の外郭団体・国際都市おおた協会からは①多言語相談窓口、②翻訳・通訳派遣、③日本語教室などを受託して事業を行っている。独自事業として生活相談・同行支援、学習支援を行っている
  • 多言語相談窓口で見えてきたのは、労働環境や生活環境の厳しさ、最近は高齢化や精神疾患を抱えている人が増えている
  • 相談が増え、問題が複雑化・困難化してくると、社会福祉協議会をはじめ関係機関との連携が必要になってくる
  • レガートおおたでは、外国籍住民に対して伴走型支援を行い、相談者と対等な関係を保ちながら、地域社会と連携して問題解決に取り組んでいる
  • 言語のサポートだけでなく、福祉の視点を持つことが必要
  • 伴走型支援ガイドブックも作成している。オンライン相談窓口を開設したところ、全国から相談が来る。8割はベトナム国籍の人で、劣悪な労働・生活環境の相談で、相談先がないケースが目立つため、各地域の社会福祉協議会との連携が重要

3.大阪府豊中市

  • 7,000人くらい外国にルーツのある人がいるが、同じくらいの人数の高齢者独居世帯には手厚いサポートや見守りがある
  • 災害時に避難所に来てもらおうと、多言語の表示をしていても、そもそも誰も避難所訓練に来ていない
  • 2019年に、国際交流協会やNPO、市の関係部署の方と一緒に外国人支援と福祉の連携をスタート
  • 40人の外国人のヒアリング調査をしたところ、「避難所は外国人が行ってはいけない場所だと思っていた」といった実情が見えてきた
  • コロナ時の特定貸付についても多言語のパンフレットがなかったので、作成した。言葉を全くしゃべれないまま日本に来て、知り合いもほとんどいない人たちがこんなにいる
  • 多言語での相談窓口や交流の場を作っていった。さらに技能実習生や夜間中学にフードバンクの食材を届ける取り組みもした
  • フットサルの交流会を小学校の体育館を借りて行い、地域の方に応援に来てもらった。夕方からの時間で、なぜこんな時間なのかと地域の方が疑問に思われていたが、参加できる時間を聞くと、「仕事の都合でこの時間しかいないんです」ということで分かっていただいた
  • 2022年にはフォーラムを実施
  • 外国ルーツの子どもたちが大変な状況にあるため、学校に対して訪問するとともに、子ども宅食を通してつながり続けるアウトリーチを進める
  • 多文化共生ボランティアを募集している。通訳だけではなく、社会保障の仕組みが分かっている人が一緒につかないといけない
  • 国際交流協会は、ライフステージに沿った多様な支援をしている。例えば、多文化子ども保育、学習支援、多言語での相談サービスなど。支援する側に回りたいという方もたくさんいる
  • 社会福祉協議会とのつながりはあったが、コロナで生活基盤がぜい弱な外国人の人たちがたくさんいるということが分かったため、生活相談会や緊急小口資金などの多言語対応、交流会などを実施した
  • 外国人にとって国際交流協会の認知度は低かったが、コロナの特別貸付からつながった人が多かった
  • コロナで出入国が制限されたため、生活が苦しくなったとき、母国へ帰る、家族を呼び寄せるなどの手段が取れなかったのも大きい